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世界一周
かなり久々のブログになります。 3月5日から21日まで、世界一周の途にあります。主たる目的は、ブラジルのクリチバで、バスシステムだけでなく市の行政・大学にヒアリングをすること、そしてケニアのナイロビで、学生指導で都市交通の現状調査と市民アンケート調査実施に立ち会うことです。2つ別々に行く日程が難しく結果的に世界一周することとなりました。せっかく一周するので、ブラジルへはトロント経由、ナイロビからはパリ経由で、それぞれ都市交通をじっくり見てくることになります。 もう既に旅も半ばでちょうどナイロビに到着したところです。写真は、ヨハネスブルグからのフライトで 、ちょうどキリマンジャロ山頂を通ったところです。とてもラッキーで、乗客みんなが左側の窓に釘付けになりました。一歩遅れた私は外が見えず、ビジネスクラスまで侵入してようやく見ることができました。でもこんな山頂近くを飛んで大丈夫だったんですかね。富士山の山頂近くを通った旅客機が乱気流で墜落したこともかつてあったことですし。 |
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トロント
日本からブラジルへはニューヨーク経由が一般的なようですが、私はトロント経由にしました。なかなか行く機会がない場所ですし、何よりトロントは、乗り継ぎの仕掛けなど、都市公共交通ではいくつか面白いものがあるので、2泊することにしました。
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ついにクリチバに
とにかく、中村文彦先生と一緒にクリチバ市(ブラジル)に行って、そのうえクリチバ市のキーパーソンズの話を直接うかがえる機会はとても貴重なので、無理をして日程をくみ上げて、この世界一周の出張となったわけです。ブラジルのビザを取るのも冷や汗ものでしたが(通常3週間かかるところを、出発2週間前に3日間で取得しました。別に不正もなければコネも使っていません)、ついにやって来ました、地球の裏側まで。(といってもこれを書いているのはナイロビ最終日です)。 クリチバの都市政策やバスシステムについて、中村文彦先生をさしおいて語るのは文字通りおこがましいので、ここでは、クリチバのバスシステムについて感じたことを簡単に。
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ケニアの週末
ここナイロビでも、クリチバのときと同様かそれ以上にいろいろなアポイントメントや現地踏査で、かなりハードです。ここでは、うちの研究室のケニア人の社会人修士学生のマコリさんが、ほぼ全ての行程をアレンジしてくれました。
さて、ナイロビ到着は日程の関係で12日夜となり、週末はぽっかりと予定が空きました。そこでマコリさんと、ナイロビから2時間強のナクル国立公園まで行ってきました。出張中ではありますが、2週間以上もあれば何も仕事ができない週末がどこかでやってくるので、そこはご容赦くださいというところです。 ナクル国立公園の大きさは、イメージとしては箱根の外輪山の中くらいでしょうか。ここが外界と完全に柵で囲われていて、中は数件の宿泊ロッジや管理事務所があるだけで、遊牧民も含めて誰も居住していません。公園内は、道路(やや悪路)以外の自動車走行は禁止で、下車も基本的に禁止です。 国立公園内にいたのは4時間ほどでしたが、多くの動物や鳥を見ることができました。外から移入した動物も多いというのも、比較的簡単に動物を見つけられた理由かもしれません。 インパラ フラミンゴ(とシマウマ) 他にも、サイ、ヒヒ、ハイエナ、バッファロー、キリンなどがいました。残念ながら、ライオンなどの肉食獣にはあえませんでした。 ナイロビからの道路は国土の幹線道路にあたり、確かフランスの援助で大幅に改良され、市街地はバイパスがありところどころ立体交差になっています。国立公園も面白かったですが、移動途中で、大地溝帯を上から見下ろしてみたときは、なかなか壮観でした。 |
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ナイロビの都市交通
いま、シャルルドゴール空港のラウンジです。ですが、内容はナイロビです。
2年ぶりのナイロビですが、交通じの状況はずいぶん変わっていました。もっとも、前回は選挙後の暴動の余波で外出も最小限にしていたので、前回しっかり見ることができていなかったという面はあります。 まず交通量(自家用車)が増えたこと。2年前もとくにピーク時の都心方向の渋滞は激しいものでしたが、日中の市中心部の混雑はさほどではありませんでした。ところが今回は、朝夕の放射方向の混雑はもちろん、日中の渋滞もものすごいことになっていました。のろのろ動く、というものではなく、止まったら最後、あとはビッチリ動かない、という(かつての)バンコクのような渋滞です。 それから、バスが増えたこと。ナイロビは、日本の中古のハイエースやキャラバンなどのバンを使ったマタツというミニバンが、数年前では公共交通の9割弱の利用を占めていました(JICAのパーソントリップ調査による)が、いまの感覚だとバスが1/4くらい、地域によっては半分近いのではないかという感覚です。とにかく、前は街中がマタツだらけだったのが、今回は違っていました。 さて、マコリさんの研究は、ナイロビにBRTを想定したバスを仮想的に導入した場合の利用者の意識調査をするものです。交通状況がだいぶシビアになってきたこと、それから国や市のお偉いさん方が、ボゴタへBRTの視察をするなど、公式には計画は出来てはいないものの、BRTについてはかなり気が熟してきたようです。マコリさんの研究が、タイムリーなのか、それとも時機を逸してしまったのか、これはマコリさんのこれからのガンバリにもかかってくるのかもしれません。 |
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ナイロビの交差点からいろいろ見えてくること
ナイロビの激しい交通渋滞の元凶はラウンドアバウト(ロータリー)。というのが、衆目の一致した見方のようです。研究者からもケニアの道路管理者からもそんなコメントは何度も聞きましたし、ガイドブックにさえもそんなコメントがあります。いままでずっとこう指摘され続けているにもかかわらず、私が見聞きした限り、交差点改良の事業(大してお金がかかるわけではない)が行われた形跡はありません。
<ラウンドアバウト> 技術的にはその通りなのですが、事の本質はもっと根深いように思えます。まずこのラウンドアバウトでの交通制御ですが、交通量が少ないときは、イギリスとほぼ同じで、全ての方向(多くの場合4方向)から車が順次ラウンドアバウト内に流入してきます。問題は混雑時で、交差点の全ての流入口に立っている交通警察官がマニュアルによる交通制御を始めます。このとき、同時には1方向のみしか交差点に流入させません。つまり、4枝交差点(十字路)であれば、信号1サイクルにつき4現示ということになります。これでは、信号交差点に比べて交通容量はほぼ半減です。さらに問題なのは、警察官が何らかの原則に沿って制御しているようにはとても思えない(警察官の気分?)ことです。交通渋滞を引き起こすために警察官が存在しているかのようで、こんな警察官が各交差点にほぼ必ずいるので、市街全体ではとても多くの交通警察官がいることになります。警察官は、取締りにはとても熱心にみえますが、円滑な交通流の実現という意識は、すくなくとも現場には無いようにさえ思えます。もっとも、渋滞がひどくなるとドライバーはてんでバラバラな振る舞いをするので、そのようなカオスな状況を防ぐ、という意味の効果は確かにあるのですが。ナイロビでは、他の途上国と同様に運転ルールやマナーは???ですが、警察官の指示にはきちんと従います。
<進むのは1方向のみ> |
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そして、ナイロビのBRT (Bus Rapid Transit)構想
ケニア政府およびナイロビ都市圏政府の道路管理者が、既にBRTをかなり検討し始めているというのは前述の通りです。印象では、ナイロビのBRT構想が何を目標にしていて、どの程度のパフォーマンスを想定しているのか、詳細設計はもちろんまだであるとしても、まだ具体的なイメージを持ちえていない印象です。現状としては、「とにかくBRTはとてもすばらしくこれがナイロビにとってベストの交通対策(政策)だ」という意見で、とりあえず道路管理者および公共交通の規制当局の実務者はほぼ一致した段階、と思いました。
多くのBRT導入都市(成功したとされる都市)での共通点として、市長などの当局者の強力なリーダーシップの存在が指摘されています。クリチバのレルネル元市長や、ソウルのイミョンバク前市長(現大統領)の名前はよく出てきます。ただ、これからBRTを導入する場合では、個人としての強力なリーダーの存在がBRT成功の必要条件だ、といえばそれは本質ではないのでしょう。一般的な鉄道計画や道路計画と BRT計画との根本的な違いは、道路管理当局・都市計画当局・公共交通の規制当局、そして交通管理者(警察)どうしの連携がとても重要で、それによってはじめてよい計画の策定と高いパフォーマンスの運用が可能となることです。これらの当局者が一体となって建設的な仕事ができるのであれば、強力なリーダーは後からついてくるのかもしれません。ケニアでは、どこに行っても、関係者の多さ(”so many stakeholders”)を行政当局者の誰もが問題としてすぐ口にします。行政の組織改編がいろいろ実施されていると聞いています。このあたりは是非、ケニア自身の手で解決していって欲しいと思います。 ナイロビについて言えば、見かけだけのサルマネBRT計画になってはいけないということに尽きます。関係者の連携ということに少し重きを置きすぎた記述となりましたが、構想の具体化にはほかにも大きな課題があります。ネットワーク計画や交通運用計画ももちろん大事ですが、それ以前の課題として、どのような政策目標(複数)を設定して、かつそれらの優先順序をつけるかです。そして難しいのは、想定する利用者層です。
<スラムを遠くから>
<都心の歩行空間1> <都心の歩行空間2> ・都心の道路は車であふれています。 ・都心のバス乗り場。車掌がバスの系統番号(24番)の札を手に持って客引き中。 画面ではよく見えませんが、同じ24番のバスが後ろにずっと並んでいます。客が集まったら出発。 バスの多くは、シート定員が30人から40人。 ・途中停車するマタツ。ほぼ全てが日本のバンの中古。 バスとマタツは系統番号は共通。ただし、都心側のターミナルがバスとマタツで異なる。また、バスはバス停のみに停車だが、マタツはどこにでも停車。運賃は”ほぼ”同じ。ただし、郊外の遠くまで行く場合はマタツのほうが高い(バスは少なくなる)。 定員は、運転手と車掌を含めて14人で、これは厳守。でも日本なら10人定員なので、かなりのギッシリ度。もっとも、マタツ用の中古のハイエース・キャラバンは、旅客タイプよりは貨物車(4ナンバー仕様)のほうが改造の自由度が高いので人気なようです。 |