フィヨルド周遊(2)

もうひとつ、ここの重要な観光資源は、フロム鉄道です。
http://www.flaamsbana.no/jap/Index.html

湾奥のフロム(海抜2m)から、オスロ・ベルゲンを結ぶ鉄道駅ミュルダール(海抜865m)までを、約20kmを40分かけて走ります。途中の風景が美しいのはもちろんですが、最大勾配5.5%がずっと続くことや、途中に二重のヘアピンカーブ(鉄道だとループやスイッチバックが一般的ですが、ここではトンネルがヘアピンの線形になっています)があり建設には技術と時間を要したことなど、鉄道技術的にも特徴的なところです。
フロム
写真はフロム駅(フィヨルド湾側)です。U字谷の底にあります。雨なので、山の上からいく筋もの滝が流れ落ちています。日本だと土石流の危険をすぐ連想してしまいますが、ここは岩盤上で流れる土砂もないので別に問題はなく、これが雨の日の普通の光景です。

この鉄道は、いま年間約60万人が利用しています(ほとんどは観光客)が、70年代までは年間20万人ほどでした。80年代から増え始めるのですが、これには先のコラムの周遊切符の売出しなども大いに関係しています。
ここはもともとは国鉄の1支線で、以前はサービスの縮小(冬期運休など)や最悪は廃止も考えられたそうですが、1998年に民営化され、いまは地元の観光開発会社が経営をしています。地元の観光企業によるホテルやレジャー活動との一体運営のため、来客数の増加に大きく貢献したといいます。

地元の観光開発会社により既存の交通機関を経営する、というのもあるわけです。日本では歴史的には、交通事業者が観光開発を行ってきた地域が多いですね。そのようなケースでも、現在では実質的には観光開発が主・交通は従というような企業に変化しているとも言えますが、そのようなケースでも、その交通については元気がないところが多いのが気にかかります。

もうひとつ面白いのは、民営化して観光開発会社が買い取ったのですが、運行や保守はひきつづきノルウェー国鉄が行っていることです。公共交通で「民営化」とか「移管」というと、もとの企業体は一切そこから手をひく(というか、手を引くことが目的で移管をする)というモデルが日本には多い(多すぎる)ですが、公共交通の運営形態にはもっと多様になっていいと思います。都市交通だけでなく、観光交通でも。

で、楽しみにしていたフロム鉄道ですが、直前に運休となってしまい、急遽手配されたバスで移動することになってしまいました。この鉄道に並行するバスが通れる道路はないので、100km以上はなれた山のふもとの駅(Aal)まで連れて行かれました(オスロ行きの列車に先回りしたような形になった)。乗車予定だった、ミュルダールから先のノルウェー国鉄最高地点の通過(ここも土木技術としては歴史に残る区間です)もパーになり、天気に続いてややケチのついた周遊となってしまいました。

もっとも、この代行バスからの景色は、鉄道からよりも雄大だったかもしれません。中心線もないような一本道(おそらく、電源開発だけのために造られたような道)を、誰一人すんでいないような山中をいき、ときにはヘアピンカーブのトンネルや4kmもあるトンネルなどを通っていきます。そして、そこに突然、大きな送電線やダムが現れたりします。途中ですれ違った車は数台。こんな経験も運休のおかげ、といえば言えます。

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