災害復興とまちづくり

週末をつかって、3泊で遠出をすることにしました。最初の行き先は、オーレスンという人口4万人程度の港町です。トロンハイムから南西へ直線距離で250kmくらいです。トロンハイムからは、バスだと半日以上、船はまる一日かかります。ノルウェーの自然景観を楽しむなら陸路・海路はうってつけで、少し心が動きましたが、さすがに速さを優先して飛行機です。これだと40分ほどで到着です。小型のプロペラ機かと思ったらボーイング737-700で、ほぼ満席。

オーレスンは1905年に大火で街が全て焼け落ちたあと、その復興過程で、街路を広げただけでなく、街の建築物ほぼすべてを、煉瓦や石造りのアールヌーボー様式で再建した街です。ここに来たかったのは、大火からの復興の歴史、建築物、そして現在にそれをどう受け継いでいるかを見ておきたかったからです。

街は、こんなです。
オーレスン1

これは港の脇で、左の建物が、アールヌーボー博物館で、復興過程や建築物デザインなどの解説があります。別にこの一画だけこのような建物群があるわけではなく、中心部全体がこんな感じなので、なかなか壮観です。

オーレスン2

ここは住宅地です。商店街では、一階はガラス張りのショーウインドーになっていますが、住宅地になると、入り口のドアなどもたぶん当時のままなのでしょう。よくみると、壁面にはいろいろな彫刻、バルコニーには曲線で構成された欄干などがいたるところの建物にあります。いつもは「町並み」を見ているので、街路と並行方向の景観を見ていることが多いですが、建築物を見るには、街路と垂直方向:建物の正面から見ることになるので、私の普段の街歩きとは少し違ったスタイルになりました。

大火の後、街割りを変更して街路を広げる、というのはよくありますが、ここまで町全体の建築物を同じデザインで(それも当時の最先端?のデザインで)一気に造り上げてしまう、という例は意外と少ないと思います(日本でも、蔵造りの町並みなど、部分的にはありますが)。さらに、ここはそれがほぼ全て残っていて(まあ100年くらいですから)、観光用ではなく通常の生活に使われているので、そのような街を歩くのはなかなか貴重な経験でした。

街の中も、港の周りを埋め立てて道路を新設したり(もとの大通りは歩行者専用の商店街になっている)、街のほぼ真ん中の当時は何もなかった(当時の地図では空白になっていた)一画にショッピングセンターと近代的な10階建てくらいの建物が建っていますが、それ以外は復興当時の地図とほぼかわりません。といっても、街の発展が停滞しているわけではなく、土曜日でしたのでそれなりに人通りがあります(観光客は、いまはほとんどいませんでした)。北の海の港町ですが、最果て感もわびしさも街に全く感じないのは、どの建物もよく手入れがされていることも大きいのでしょう。朽ち果てていたり、壁の塗装がはげかかっていたり、などというような建物はほぼ皆無なのが印象的です(なので、テーマパークの中の街にすら見えてしまうほどです)。

オーレスンもこの周辺100kmくらいには大きな街はなく、氷食によりつくられた島や半島が複雑に入り組んだ地形のなかにあり、中心街も3つの島にまたがっています。まわりは荒涼とした(晩秋なので)風景が広がりますが、街中だけがとても明るい雰囲気なのが不思議です。
さらに、もうひとつおどろいたこと。空港は別の島にあって、街とは間に1つ島をはさんで、2つのかなり長い海底トンネルで結ばれています。かなりお金がかかっているはずです。ここだけでなく、ノルウェーは人口密度はものすごく低いですが、地図を見ると、人が住んでいるところには、谷の深いフィヨルド地形のなかに、あちこちに長大な山岳トンネルがあります。いまの日本だったら、タヌキしか通らない(ノルウェーならキツネですかね)などと揶揄されかねないところですが。公共投資に対する議論、とくに地方部に対するそれがどうなのか、決定プロセスがどうなっているのか、滞在中に知っておきたいところです。

また、特に夏は、フィヨルド観光もかねてオーレスンに行くのは、純粋に旅行先としてもお勧めです。機会があれはぜひご検討を。

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