ついにクリチバに

 とにかく、中村文彦先生と一緒にクリチバ市(ブラジル)に行って、そのうえクリチバ市のキーパーソンズの話を直接うかがえる機会はとても貴重なので、無理をして日程をくみ上げて、この世界一周の出張となったわけです。ブラジルのビザを取るのも冷や汗ものでしたが(通常3週間かかるところを、出発2週間前に3日間で取得しました。別に不正もなければコネも使っていません)、ついにやって来ました、地球の裏側まで。(といってもこれを書いているのはナイロビ最終日です)。

クリチバの都市政策やバスシステムについて、中村文彦先生をさしおいて語るのは文字通りおこがましいので、ここでは、クリチバのバスシステムについて感じたことを簡単に。

幹線軸

 いままでBus Rapid Transit (BRT)
を、必ずしも正しく認識していなかった、と思いました。
 1つはシステムや運用の面で、もう1つは導入意義において。(蛇足:BRTという言葉ができる前から、クリチバではこのバスシステムが既に存在していたのですが、クリチバ市の英語のパンフレットで「Bus Rapid Transit (BRT)」と銘打っているので、ここではBRTという言葉を使います)


 BRT
といえば、専用の走行空間(レーン)があることに加えて、なんとなく、(1)バス優先の高度な信号システムがあり、(2)一般車が渋滞で所要時間がかかるところを速く正確にバスが運行され、(3)輸送力を確保するために2連節・3連節の車両が運行する、、、というイメージがあります。もちろんBRTとはそれら全ての要素が入っているわけではなく、都市やシステムによって少しずつ異なっているわけですが、それをどこまで我々「専門家」が認識しているかです。ちなみに、BRTのひとつの代表例であるクリチバについては、上記であてはまるのは基本的には(3)だけで、いわゆるPTPSのようなシステムは基本的にはない(線状開発のため、バス専用道がある開発軸を横切る幹線道路は少ない。だからそもそも路線上にクリティカルな交差点は少ない)し、バスよりも自動車のほうがピーク時でも基本的にはかなり早い(開発軸では、バス専用道に並行した2本の一方通行の幹線道路が整備され、信号が系統制御されとても流れがスムーズ)。クリチバのことを少しでも知っていればどれもとても当たり前なのですが、なかなかそこまで思いが到っていませんでした。このことは、おそらくクリチバ以外のBRT導入都市についても同じことが言えるように思えます。


 また
BRTの導入意義についても、クリチバは、とても大雑把に言えば、線状開発という土地利用政策のなかで位置づけられて、加えて既存のバスの改善をめざしたという経緯ですが、他都市では自動車に対して卓越したサービス(所要時間)を提供する公共交通機関として導入されたり(たとえばジャカルタ)、既存の混沌としたバスを整理して大きな輸送力を確保することが第一義的な目的であったり(たとえばボゴタ)など、導入目的の優先順位が各都市について異なっています。公共交通システムとしてだけBRTをみれば、その運用システムや道路空間設計などに目がいきがちですが、そこだけをみていると、そもそもBRTにはものすごく多くのバリエーションがあるわけで、たとえば新たにBRTを導入したいといったときに、単に特定の都市の表面的なマネに終わってしまう可能性があります。

 そんなサルマネ
BRTが既に世界には現れつつあるように思えます。この話題はナイロビに続きます。

 
トロント
  日本からブラジルへはニューヨーク経由が一般的なようですが、私はトロント経由にしました。なかなか行く機会がない場所ですし、何よりトロントは、乗り継ぎの仕掛けなど、都市公共交通ではいくつか面白いものがあるので、2泊することにしました。


 市内は、地下鉄・トラム・バスともに
3ドル(260)均一料金で、バス・トラム・地下鉄を改札内乗換えができる駅がいくつもあります。少し面白いのは、このトロント交通局(TTC)での”Transfer”という用語の意味です。これは通常の「乗換え」という意味ではなくて、「いったん改札を出て乗り換える」という特別の意味になります。このような駅は地図上でTTransfer Required)と書いてあり、その場合は改札外乗換えになるので、乗車時に乗りつぎ券(乗車後1時間有効)を事前にもらっておけ、ということになります。「乗継ターミナル駅」を見に行く私は、Tマークがない駅に行けばよいわけです(いくつも行きました)。「乗継可能駅」ではなくて、「乗継券が必要な駅」を示しておくというのが面白いといえば面白いところです。


transfer
地下鉄ではこの機械から乗継券をもらう

noritugi
トラム駅(右)とバス停(左)から階段を下りれば地下鉄コンコース (ここは改札内)

jitensha
多くのバスに自転車ラックがついています。実際に使われているのを見たのはこれが唯一。


 さて、どうでもいいことですが、
D社の「地Qの歩き方」は、国ごとで都市公共交通の案内がきちんと書いてあるものとそうでないところの差というかムラがとても大きいです。カナダはイマイチ。上記のようなことはなんとなく書いてあるだけで、その記述の中途半端さが私には理解不能です。もっとも他社はもっとダメ。海外で一般的なロンリープラネットもダメ。D社は地図がとても見にくく更にときどき不正確なのがとても嫌(2005年版マレーシアでは、KLセントラル駅の地図上の位置が完全に違っていたとか、情報が古いなどいうのとは次元が異なるミスがちょくちょくある)で、街歩きにはとても不向きなのですが、いつもしかたなくD社のガイドを買うことになります。ちなみに今回は、4冊(カナダ、ブラジル、ケニア、フランス)のガイドブック(D社)を持っていくので、それだけで結構重いです。

世界一周
キリマンジャロ!
かなり久々のブログになります。

3月5日から21日まで、世界一周の途にあります。主たる目的は、ブラジルのクリチバで、バスシステムだけでなく市の行政・大学にヒアリングをすること、そしてケニアのナイロビで、学生指導で都市交通の現状調査と市民アンケート調査実施に立ち会うことです。2つ別々に行く日程が難しく結果的に世界一周することとなりました。せっかく一周するので、ブラジルへはトロント経由、ナイロビからはパリ経由で、それぞれ都市交通をじっくり見てくることになります。

もう既に旅も半ばでちょうどナイロビに到着したところです。写真は、ヨハネスブルグからのフライトで 、ちょうどキリマンジャロ山頂を通ったところです。とてもラッキーで、乗客みんなが左側の窓に釘付けになりました。一歩遅れた私は外が見えず、ビジネスクラスまで侵入してようやく見ることができました。でもこんな山頂近くを飛んで大丈夫だったんですかね。富士山の山頂近くを通った旅客機が乱気流で墜落したこともかつてあったことですし。
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